第6学年理科学習指導案
1 単元名 「大地のつくりと変化」
2 単元の目標
○身のまわりの大地やその中に含まれるものに興味をもち,大地の構成物や大地のでき方について資料などで学習したことをもとに,地層を観察することができる。
○観察した地層が,火山のはたらきでできたものか,流れる水のはたらきでできたものか,推論することができる。
○大地の変化について,自然災害と関係づけながら調べ,大地は火山の噴火や地震などに よって変化することをとらえることができる。
3 単元について
単元構成の趣旨
児童はこれまでに流れる水のはたらきによって土地が削られ,土砂が運ばれ,それらが堆積することで河原などの様子が変わることを学習してきた。しかし,児童はそのことが自分たちが住んでいる土地のでき方や変化に関係があるということまで気づいていない。さらには,火山の活動や地震が大地の形成に大きく関係していることまで認識していない。
そこで本単元では,身のまわりの土地やその中に含まれる物を調べることにより,土地の構成物や地層の広がりやでき方をとらえるようにする。そうすることにより,土地は,礫,砂,粘土,火山灰及び岩石からできており,層をつくって広がっていることや,地層は流れる水のはたらきや火山の噴火によってできているものがあることに気づかせる。さらに,土地のつくりと変化のきまりについての考えをもつようにするとともに,土地に関する事象を多面的に追究する能力を育てるようにしたい。
地層観察会について
本単元では,大地のつくりやでき方が推論しやすい東尋坊へ出かけ,地層の観察を行う。東尋坊から雄島にかけての海岸は,実際に自分の目で地層の広がりを見ることができ,スケールの大きさを実感することができる。また,地層の広がりやその歴史にふれることによって,子ども自身のもっている時間的・空間的な視野を広げたいと考える。ここでは断層による大地のずれや火山岩の貫入による大地の変化を立体的・量感的にとらえ,自然のもつ偉大な力も感じさせたい。
大地の変化の継続性
東尋坊の地層観察で味わった感動をもとに,大地の変化に関係する「火山の噴火」や「地震」について追究させる。調べ学習を進めていくうちに,火山活動や地震が過去のものではなく,今も続いていることや,将来にも起こる可能性があることを考えさせる。そして,今なお大地は変化し続けていることを理解させたい。
指導について
単元への興味づけ
本校周辺には観察に適した地層がない。校庭を掘り下げ地下の様子を調べても,人が掘れる程度の深さでは粘土層しか観察できず,児童の興味をひくことはできない。そこで,屋上から学校周辺の土地の様子を観望させ,大地がどのようなでき方をしたのか興味をもたせたい。
大地のつくりやでき方については,あまりにもスケールが大きく想像しにくいと思われるので,まず,教科書の写真やビデオ教材を使って,水のはたらきによってできる地層や,火山のはたらきによってできる地層を十分に理解させる。その際,それぞれの地層に含まれるものの特徴をおさえる。水のはたらきによる地層には,丸みをおびた石や岩,火山のはたらきによる地層には角張った石や岩が含まれることをおさえたい。
地層観察会から本時について
大地の形成について基礎的なことを十分理解した上で,東尋坊へ地層観察に行き,実際に地層を観察させる。ここではそれぞれの層にどのような構成物が含まれているのかを一人ひとりがしっかりつかみ,何のはたらきでできた地層か推論させる。その際,メモを取ったり,スケッチをしたり細かなところまで気づかせるよう指導する。また,今後の学習で振り返りがしやすいようデジタルカメラで記録を残しておく。
地層観察会後は,東尋坊周辺の地層の様子や構成物を班でまとめさせる。最終的には学級で話し合い,東尋坊周辺の地層がどのようにできたのか,流れる水のはたらきや火山のはたらきと関連づけながら考えさせたい。
本時では,地層観察会で集めてきた資料をもとに班で話し合ったことや,まとめたことをポスターセッションで情報交換する。発表の仕方は班によって様々だと思われるが,それぞれの班が伝えやすい方法で発表させる。その際,相手を意識して伝えられるよう指導していきたい。
児童の実態
昨年度「流れる水のはたらき」の単元で,削る・運ぶ・積もらせるの3要素を学習した。しかし,事前の聞き取り調査では,土砂を削る・運ぶはたらきは覚えていたものの,積もらせるはたらきを覚えていた児童はわずかであった。堆積層を形成する上で欠かせない「積もらせる」はたらきを再度おさえてから単元に入りたい。
「自分たちが住んでいる土地がどのようにしてできたか」という課題は,あまりにもスケールの大きいことから児童一人ひとりが想像するのは難しいようであった。しかし,本校のそばに足羽川が流れていることから,水のはたらきによってできたのではと想像を働かせたり,足羽山や近くに散在する山々を見て,火山活動と何か関係があるのではないかと疑問をもったりする児童もみられた。
先日,十勝沖地震によって北海道の一部が大きな被害を受けた。ニュースも大々的に報道され,児童の間でも話題となった。地震について知っていることを聞いたところ,阪神淡路大震災や福井大地震の揺れの大きさや被害の深刻さについて話してくれた。しかし,地震が大地を変化させることまでふれる児童はいなかった。大地の変化には自然災害である地震が大きく関係していることから,地震の記事について関心をもたせ,本単元の興味づけとしたい。
今までの理科の授業において記録や観察を何度かおこなってきたが,丁寧に仕上げることが苦手な児童が多かった。地層観察会でのメモやスケッチがその後の授業に活用されるので,各地層の特徴をしっかりつかみ,丁寧に記録が残せるよう事前に指導していきたい。
一学期からパソコンを使って学習のまとめをしたり,プロジェクターを使って発表したりしてきた。このため,発表することには慣れている。しかし,形式的な発表に終始し,一方的に自分の意見を言って終ってしまう児童が多い。今回の授業では,自分たちのまとめたことや考えたことがしっかり伝わるよう,相手を意識した発表ができるよう心がけさせたい。
3 単元の学習内容と評価の計画 (15時間)
つけたい力
○ 土地の構成物や岩石のつくりを調べて粒の様子に違いがあることを知るとともに,その土地がどのようなはたらきによってできたものか推測することができる。
○ 東尋坊周辺の地層の様子やその中に含まれるものを調べる活動を通して,土地の構成物や地層の広がり,地層のでき方について見方や考え方をもつ。
○ 地震や火山による土地の変化についてどちらかを選んで調べ学習を行い,地域の土地と関連づけながら自然の偉大さを感じる。
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学習内容と評価の計画 |
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時 |
学 習 内 容 |
お お む ね 満 足 な 状 態 |
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関心・意欲・関心 |
科学的な思考 |
技能・表現 |
知識・理解 |
一
次
導入
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1
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自分たちが住んでいる土地はどのようにでき,どのようなものでできているのか話し合う。
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自分たちの住む土地のつくりについて疑問や気づきを進んで話し合おうとする。
(発表) |
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大地は,小石,砂,粘土,火山灰及び岩石からできていることを理解する。(ワーク)
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二次
大地をつくっているもの何か
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1
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水のはたらきでできた地層と火山のはたらきでできた地層の特徴について学習する。
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大地が,流れる水のはたらきや火山のはたらきによってできていることを推論できる。
(発表・ワーク) |
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水のはたらき・火山のはたらきによってできる地層の特徴をつかむことができる。
(ワーク) |
1
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水のはたらきでできた地層のでき方を考え,水槽に土を流し込む実験を通して調べる。
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大地のでき方に興味をもち,進んで水のはたらきでできた地層のでき方を調べようとする。
(行動観察) |
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種類の違う土を交互に流し込み,水のはたらきでできた地層のでき方を調べることができる。
(ワーク) |
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1
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堆積岩と化石について実物や写真資料で特徴を調べる。
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礫岩,砂岩,泥岩の堆積標本を観察し,その特徴を記録することができる。
(ワーク) |
地層には,化石が含まれていることを理解する。
(ワーク)
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三次
東尋坊周辺の地層の形成
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5
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東尋坊周辺の地層や地形を観察しよう。
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それぞれの地層の特徴を進んで調べようとする。
(しおり) |
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観察した地層のの様子を記録することができる。(しおり・写真) |
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3
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東尋坊周辺の地層についてまとめよう。
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観察した地層の
特徴つかみ,それをもとに地層の形成の過程を推論することができる。
(しおり) |
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水のはたらき・火山のはたらきによってできる地層の特徴をつかむことができる。
(しおり) |
1
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東尋坊周辺の地層のでき方を話し合う。 本時【13/15】
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東尋坊周辺の地層のでき方を推論することができる。
(発表・発表資料)
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流れる水や火山のはたらきによってできる地層の特徴をつかむことができる。(発表資料) |
四次
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2
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火山の噴火や地震による大地の変化のようすを調べる。
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火山の噴火や地震によって大地が変化することを推論する。(ワーク)
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大地は火山の噴火や地震によって変化すること理解する。(ワーク)
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4 本時について
(1) 目 標 東尋坊周辺の地層や地形について,わかったことや調べたことを発表したり聞いたりすることにより,その地層や地形についての見方や考え方を深める。
(2) 準備物 自分たちがまとめた資料(模造紙・スタディノートにまとめた資料),テレビ2台,パソコン2台,ワークシート
(3) 展 開
学 習 活 動 |
教師の支援(・)と評価(◇) |
○本時の課題を把握する。 |
・どの班がどの教室で発表するのか事前に 指示しておく。
・前半発表の班,後半発表の班も事前に決 めておく。
・他の班の発表を聞くことによって,自分 たちが気づかなかったことを知り,地層 のでき方に対する見方や考え方を深めて いくようにする。
・発表を聞くときは,調べた内容と異なる 班の発表を聞くよう配慮する。
・聞き手にわかりやすく発表するために, 写真や図,実物を効果的に使わせる。
・発表を聞く班は,地層観察会で使ったし おりを見ながら聞かせる。
◇地層観察会で集めてきた資料や,話し合 い活動でまとめたことをもとに,しっか り発表することができたか。
(技・表)【発表】
◇それぞれの層に含まれている物を調べ, その地層がどのようなはたらきによって できたものか,推論することができたか。
(思考)【発表・資料】
・質問があるときは発表後に行い,発表内 容を深めさせる。
・質問がないときは,発表を聞いてわかっ たことや感想をワークシートに書いてお くよう指導する。
・他のグループの発表を聞いて,よかった ことや勉強になったことを発表させる。
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・東尋坊周辺の地層や地形について調べたこ とをわかりやすく発表しよう。
・他の班の発表を聞いて,東尋坊周辺の地層 や地形について見方や考え方を深めよう。
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○8班に分かれ,まとめたことをポスターセッ ション形式で発表する。
(発表5分,質疑応答3分)
○各班の発表内容 |
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福良浜の地層について(1・2・4・5班)
・層に含まれるものの調査
・何のはたらきでできた地層か
・地層の広がり
・地層ができあがった順序や歴史 |
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船着き場の地層について(3・7班)
・層に含まれるものの調査
・断層についての考察
・東尋坊とのかかわり
・熱変質について |
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東尋坊の地層について(6・8班)
・石の形と広がりや東尋坊のでき方
・火山のはたらきについて |
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<1組教室>
前半発表 1・2班 後半発表 3・6班
<2組教室>
前半発表 4・5班 後半発表 7・8班
○発表に対して質問する。
○今日の授業の感想を発表する。
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(4) 授業の観点
東尋坊周辺の地層について,調べたことやまとめたことを友達にわかりやすく伝えるためにメディアの活用は有効であったか。